回向院市川別院源光寺と国府台緑地
国府台の台地の上、
里見公園と
じゅん菜池緑地公園の間になんとも優雅な寺院があります。鼠小僧のお墓があることで有名な東京両国にある
回向院の市川別院源光寺です。源光寺の小さな赤門を抜けて中に入ると、まるで森の中に紛れ込んだかのように丈の高い木々が立ち並びます。木々のなか、右の小径の奥には一言観音が置かれています。また、奥まで進むと視界は開け、正面に近代的な建物が現れます。回向院別院の本堂です。この本堂はまるで美術館と思うほどおしゃれな建物で、中には
カフェテラス回向院というカフェもあり、参拝者は本堂南側に広がる石庭を眺めながら、ゆっくりと時の流れを楽しむことができます。回向院市川別院源光寺の本堂は千葉県建築文化賞や北米照明学会主催のIES
Illumination Awardsで優秀賞を受賞した素晴らしい建築物です。本堂西側には竹林もあり、少しだけ京都に行った気分にもなれるほど伝統的な佇まいと現代建築が共存する、旅心を満足させてくれる寺院です。
また、道を挟んで西側に広がる国府台緑地も里見公園とじゅん菜池緑地公園とを結ぶ散歩道の中にあります。秋には木々が色づき、里見公園、回向院、じゅん菜池緑地公園の紅葉をと合わせて、市川市の豊かな自然を楽しむことができます。
回向院市川別院 源光寺
回向院と回向院市川別院源光寺
回向院は東京都墨田区両国にある浄土宗の寺院。国豊山諸宗山無縁寺と号す。本尊は阿弥陀如来。明暦3年(1657)に起こった振袖火事とも呼ばれる明暦の大火による10万人とも伝えられている犠牲者を供養するため同年江戸幕府第4代将軍徳川家綱の命により、隅田川の東岸の回向院の建つ現在地に「万人塚」という墳墓を設け、増上寺第23世遵遵誉上人に命じて無縁仏の冥福に祈りをささげる大法要を執り行いました。このとき、お念仏を行じる御堂が建てられたのが回向院の歴史の始まりです。この起こりこそが「有縁・無縁に関わらず、人・動物に関わらず、生あるすべてのものへの仏の慈悲を説くもの」として現在までも守られてきた回向院の理念であり、以後も水死者・焼死者・牢死者・刑死者等の無縁仏や安政の大地震の死者(安政2年:1855年)などを弔われました。江戸時代には、回向院境内で、供養の勧進相撲が毎年興行されたため、大相撲発祥の地となり、旧国技館が建てられるに至った。また回向院では、諸国の霊験ある本尊を迎えて行われた出開帳は人気で、門前には見せ物などが出て賑わいました。境内には、安政の大震災の被災者を供養する石塔、水子塚、力塚、猫塚があり、また墓域には江戸時代の国学者加藤千蔭や浮世絵師で戯作者山東京伝・京山兄弟、鼠小僧次郎吉などの墓があることで有名です。
そして現在千葉県市川市国府台の高台にある回向院別院源光寺は、元々は東京都台東区浅草松葉町(現在の松が谷)にありましたが、大正12年(1923)の関東大震災により壊滅的な被害を受けました。昭和二年に回向院第21世荘誉浄厳上人により現在地である国府台の地に両国回向院の別院的として復興しました。本堂庭園の奥に見える一言観音は、恵心僧都源信作と伝えられる南都奈良の唐招提寺の像と同木で彫られたもので「近世江戸三十三箇所観音参り」の第二十七番札所で、一言お願いすると願いが叶うとして多く江戸庶民の信仰を集めていたと言われるものです。源光寺再建の際に震災で荒廃した両国から緑豊かで閑静な国府台の地に移されたものです。
平成21年に建て替えが無事完了した回向院市川別院本堂は「耐震や蓄熱も配慮したコンクリート造をすっぽり木造でくるむ手法に挑み、外観の自然と伝統の調和を図る一方、本堂内の祭壇の演出は巧みで現代的空間創出を成功させている。」と評価され、平成21年に「第16回千葉県建築文化賞」を受賞しました。また、平成23年には北米照明学会主催「2011
IES Illumination Awards, Interior Lighting Design部門」で「Excellence(優秀賞)」を受賞しました。緑豊かな静かな環境に、現代建築として高く評価された本堂がしっとりととけこんだ美しい景観です。本堂にはカフェテラス回向院というCafeスペースも併設され、殺伐と時間に追われた日常を忘れゆったりと流れる時間を静かに楽しめる寺院です。
出典・抜粋・引用および参考
両国回向院ホームページ
浄土宗千葉教区Web
千葉県ホームページ
江戸川ライン歴史散歩 崙書房
大辞林
日本大百科全書(ニッポニカ)
緑豊かな回向院境内にはあちこちに紫陽花が植えられています。
回向院市川別院の秋は格別です。バス通りに面した朱色の山門を黄金色の銀杏と朱色の紅葉が彩り、庭園もさまざまな秋色の木の葉に彩られます。また、深い緑色の竹林と紅い紅葉の対比も美しいです。
里見公園で紅葉を楽しみ、国府台緑地を抜け、回向院市川別院のカフェで、紅葉を楽しみながら少し休憩して、じゅん菜池緑地公園に向かってはいかがですか?
国府台緑地は、市川市北西部の江戸川から里見公園、じゅん菜池緑地、小塚山公園、堀之内貝塚公園を結ぶ「水と緑の回廊」上の「緑の拠点」として都市計画で決定された緑地です。里見公園とじゅん菜池緑地公園を結ぶ中間にあり、秋には紅葉も楽しめます。バス通りを挟んで回向院市川別院もあり、散策に最適な自然林です。
国府台緑地
国府台緑地は、市北西部の市街地にまとまって残る樹林地です。
「市川市みどりの基本計画」において「水と緑の回廊」の拠点として位置付けられ、平成18年2月には、都市緑地として指定さえました。
面積は約5.1ヘクタール。
緑地内には、常緑樹と落葉樹の混交林が広がり、クヌギ、コナラ、シラカシ、イヌシデなどがあります。
国府台緑地内案内板より
出典・抜粋・引用および参考
両国回向院ホームページ
浄土宗千葉教区Web
国府台緑地内案内板
市川市ホームページ
千葉県ホームページ
江戸川ライン歴史散歩 崙書房
大辞林
日本大百科全書(ニッポニカ)
ウィッキペデイァ
回向院市川別院 源光寺・カフェテラス回向院と国府台緑地の最寄り駅と住所
- 京成本線「国府台駅」徒歩24分
- 北総開発鉄道「矢切駅」より徒歩8分
- 千葉県市川市国府台5-26-12
回向院市川別院源光寺と国府台緑地近くの観光名所 ご案内
東京と千葉の境を流れる江戸川。河川敷は流域にすむ人々の散歩道。江戸時代は水運の大動脈でした。
東京を東から一望できる展望施設。富士山と東京スカイツリーを眺める最高のビュースポット。
北原白秋旧宅、弘法大師伝説のある羅漢の井、夜泣き石ほか四季折々の表情を見せる素敵な散歩道。
江戸時代、徳川幕府より10万石の大名と同等の格式を認められていた曹洞宗の寺院。
国指定天然記念物「影向の松」で有名な室町時代創建の古刹。
姫宮と茶室「登龍庵」のある梅と紅葉の名所である自然豊かな公園。
回向院別院源光寺と国府台緑地
高い評価受けた現代建築の本堂と石庭と竹林、カフェもある名刹。
野菊の墓の舞台と第二次国府台合戦の激戦地でもある野菊苑と西蓮寺。