国指定天然記念物 千本公孫樹|葛飾八幡宮の大銀杏
公孫樹並木の参道を通り抜け、葛飾八幡宮にお参りに行くと、社殿脇に、建物の倍以上の高さのある
大公孫樹をきっと仰ぎ見ることでしょう。これが国指定天然記念物の
千本公孫樹です。葛飾八幡宮社殿の右側に聳え立つ巨樹、葛飾八幡宮の参道に並ぶ公孫樹の木々と異質な迫力を感じさせるてくれます。野菊の墓で有名な伊藤佐千夫は、この
千本公孫樹と八幡の八幡様を描く歌をうたっています。また、小説作家夏樹静子の作品にもこの葛飾八幡宮の千本公孫樹は登場したことがあります。また、江戸名所図会にも「神前、右の脇に銀杏の大樹あり、神木とす」と紹介された、江戸時代から知られた市川市八幡の名所。
※ 葛飾八幡宮周辺施設は、現在建設工事の行われているため、一部画像と異なる場合があります。画像は建設工事前のものも交じっておりいます。
国指定天然記念物 千本公孫樹
国指定天然記念物 千本公孫樹 一樹 昭和6年2月20日指定
多数の樹幹が寄り集まって、まるで根元から一本の大樹がのびているように見えるところから、千本公孫樹の名で呼ばれてきました。推定樹齢は千二百年を超えると言われています。
樹高23m、根回り10.2m、目通り(人間の目の高さ)10.8mで、根回りより目通りの方が太くなっているのも特徴の一つです。かつて落雷にあい上部が折れて、その後枝幹が支えあうように伸び、今のように樹形になったと言い伝えられています。
「江戸名所図会」には「此樹のうつろの中に小蛇栖めり、毎年8月15日祭礼の時、音楽を奏す。其時数万の小蛇枝上に顕れ出づ、衆人これを見て奇なりとす。」とあり、この他にも古くは「下総国舊事考」「下総名勝図会」「葛飾紀 下巻」「葛飾誌略」「金ケさく紀行」などにも記載され、近代では高浜虚子や伊藤佐千夫がこの地を訪れ、千本公孫樹を見事に描写しています。
古来千本公孫樹には白蛇が棲むと言われ、その姿を見たものは幸福を授かり、長寿になるとの言い伝えがあります。
平成28年3月
市川市教育委員会
千本公孫樹前市川市教育委員会案内板より
※ 国指定天然記念物につき、樹の幹や根の保護のため、柵がされています。
伊藤佐千夫の歌 千本公孫樹と葛飾八幡宮
- 一本ゆ五百千幹立つ銀杏木のゆゆしたふとし神の御社
- 神代木のいづの銀杏木しかに春のさみどりもえにける鴨
- 夕空のかきらふ色を面白み八幡の市の森さしてゆく
- 宮をかこふ大き銀杏は夕空の明りに映ておほにかがよふ
- かつしかや市川あたり松を多み松の林の中に寺あり
- かつしかの田中にいつく神の森の松をすくなみ宮居さぶしも
なお、一夜公孫樹千本公孫樹、馬蹄石(
頼朝公駒どめの石)、
八幡の藪知らずの三つを合わせて八幡三不思議と呼んだそうです。
引用、抜粋、並びに参考
葛飾八幡宮内御由緒書
市川市ホームページ
市川市市立図書館ホームページ
佐千夫全集 岩波書店
江戸名所図会6 ちくま学芸文庫
房総叢書 紀元二千六百年記念 第8卷葛飾紀
房総叢書 紀元二千六百年記念 第6卷葛飾誌略
房総叢書 紀元二千六百年記念 第1卷下総式社考
ウィッキペディア
千本公孫樹への交通案内と所在地
千本公孫樹の最寄り駅と住所
- JR総武線・都営地下鉄新宿線「本八幡駅」徒歩10分
- 京成本線「京成八幡駅」徒歩5分
- 千葉県市川市八幡4−2−1 葛飾八幡宮境内
伝説と歴史ある銀杏の木
市川市には葛飾八幡宮の国指定天然記念物「千本公孫樹」の他にも公孫樹の大木がいくつもあります。なかでも中山法華経寺の日常上人とその息子で真間山弘法寺の日頂上人の哀しい物語の伝わる「泣き公孫樹」と鬼越山神明寺の「小栗判官馬つなぎ銀杏」は有名です。いずれも樹齢700年以上の巨木です。
日蓮宗大本山正中山法華経寺には泣き公孫樹のほか、国指定重要文化財の五重塔、法華堂、四脚門、祖師堂など見どころがたくさんあります。
鬼越山神明寺と踏切を挟んだ神明神社にも御神木で市川市の保存木の黒松の大樹、欅の大木などが林立しています。
下総国総鎮守葛飾八幡宮境内の観光名所
国指定天然記念物 千本公孫樹