大野山浄光寺|乳無し二王像と市川七福神毘沙門天の古刹
大野山浄光寺は平将門公の城として知られている大野城の置かれた地にある歴史ある古刹です。秋には黄金色に輝く公孫樹の木が、大正年間に建てられた仁王門を彩ります。そして仁王門を通り本堂へ、本堂前に安置されている「おともだち観音」はなんとも可愛らしいく、訪れる人に優しい気分を与えてくれます。
大野山浄光寺は、市川市大野に建つ日蓮宗の古刹。運慶作として伝えられている「
乳なし二王像」は、安産のお守り、子どものお守りとして、また乳の出の少ないお母さんの「お乳の病気平癒」のとして知られています。また、市川七福神の毘沙門天の寺院でもあります。
平安時代の末、平将門公がこの地に大野城を築いたとき、城内に毘沙門天を安置するお堂を創建したのが浄光寺の始まりだそうです。その後、鎌倉時代に日蓮聖人が中山や若宮を訪れた時、高弟の一人、中老僧越後阿闍梨日弁上人により真言宗寺院から日蓮宗に改宗されたと伝えられています。
大野山浄光寺は、運慶作と伝えられる市指定文化財「浄光寺二王像」を安置し、市川七福神の毘沙門天に相応しい歴史を持つ古刹です。
乳無し二王像と伝説
乳無し二王像
天衣を含めた像高が24.3センチメートル、岩を模した台座からでも31.3センチメートルという小さな吽形(うんぎょう、 口を閉じた形)の二王像ですが、たくましい表情や筋肉、均整のとれた全容、繊細な彫りなど、力強さにあふれた優れた作品です。寄木造で玉眼が入り、全身に彩色が施され、上半身は裸形、下半身の裳には金泥で麻の葉つなぎ文の華麗な文様が描かれています。わずかに腰をひねり、右手には金剛杵(こんごうしょ)を持っていたと思われますが、現在は欠失しています。また、右手首は最近補修したものです。
作者は鎌倉時代の仏師・運慶と伝えられています。この像には乳首がありませんが、これには伝説があります。運慶が母の菩提を弔うために彫っていたところ、完成まであと一歩というところで母の姿が現れ、つい誤って乳をそぎ落としてしまいました。そこで像を壊そうとしましたが、母はこの地の安産の守りにせよと告げたので、運慶は像を作り上げました。こうした伝説によりこの像は俗に「乳なし二王」と呼ばれ、乳の出の少ない母親たちの信仰を集めました。
市川市ホームページより
市川七福神 毘沙門天
毘沙門天
仏法の御法神・四方鎮護のひとつで、別名を多聞天と言います。須弥山の中腹にあって、東方を持国天、南方は増長天、西方は広目天、そして北方を守るのが多聞天、上は帝釈天に仕え、下は、八部衆を支配して仏法帰依の衆生をしゅごすると言われています。その中で多聞天(毘沙門天)は他の三天と異なり、日本では単独の神として信仰を集めてきました。独尊の時は、毘沙門天と呼ばれるようです。右手に宝棒(武器)・左手に宝塔を掲げています。特に宝塔は毘沙門天のシンボル的存在です。武将姿のまま七福神の一つに加えられるようになり、商売繁盛から、縁結びと福徳を授ける神として広く信仰されるようになりました。当寺は、昔から「たまんぼう」と呼びならわされていますが、これは「多聞天→多門坊→たまんぼう」のことと思われます。大野城の北方に位置し城郭の守護神になったようです。大野城の消失と共に毘沙門天も無くなり、「たまんぼう」という名前をとどめるだけになったと推察されます。その後、当寺は「乳無し二王」として有名になり、乳患いの女性の信仰を集め今日に至っています。この度「たまんぼう」の由来となった毘沙門天の石造を再建することになりました。
維時 平成14年10月吉日
大野山浄光寺第38世日敬
大野山浄光寺像脇案内板より
市川七福神の寺院
- 1番 毘沙門天 国分寺(国分3−20−1)
- 2番 恵比須天 所願寺(宮久保4−12−3)
- 3番 大黒天 本将寺(大野町2−919−1)
- 4番 毘沙門天 淨光寺(大野町3−1917)
- 5番 福禄寿・寿老人 妙正寺(北方町4−2122)
- 6番 弁財天 中山奥之院(若宮2−21−1)
- 7番 布袋尊 安養寺(高谷2−16−35)
- 8番 一所七福神廻り 妙応寺(本行徳2−18)
引用、抜粋並びに参考
大野山浄光寺ホームページ
大野山浄光寺毘沙門天脇案内板
市川市ホームページ
改訂新版市川のむかし話
大野山浄光寺の最寄り駅と住所
- JR武蔵野線「市川大野駅」から徒歩7分
- 千葉県市川市大野町3-1917
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大野山浄光寺
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