葛羅の井|葛飾湧水群を偲ばせる住宅街に残る井戸
葛羅の井は、船橋市西部昔葛飾と呼ばれた地域の住宅街の中、大きなケヤキの木の傍らに、石碑と共に保存されている井戸です。この地域はの湧水は「葛飾湧水」を偲ぶ史跡として、船橋市指定文化財として大切に環境保全をされています。葛飾の地域は、万葉集に歌われた勝間田の池など豊かな水に恵まれた地域だったのだそうです。近くには二子浦の池や
二子藤の池なども保全されています。昭和22年1月26日作家
永井荷風は葛羅の井を見つけ、その後数回この地を訪れ、写真などを撮影し、石碑に記された碑文などを紹介しています。また、葛飾誌略や江戸名所図会など江戸時代の地誌にも紹介されています。なお、江戸名所図会では「葛の井」と記し、葛飾明神社の御手洗と紹介しています。
葛羅の井
葛羅の井
市指定文化財(記念物・史跡)
昭和40(1965)年3月17日指定
管理者 葛羅の井保存会
葛羅の井
旧栗原本郷の葛羅の井は、葛飾明神の御手洗といわれ、明神の旧社地東下の古作道の路傍にあります。現在はコンクリートで固められた直径180cmほどの円い井戸で、昔はこの水脈が竜宮界まで通じているいわれていました。またいかなる日照りにも水が涸れることはなく、瘧疾(瘧。主にマラリアの一種。)を患う者がこの水を飲めば、治るともいわれました。
葛羅の井の前には、石碑があります。この石碑は文化9(1812)年、蜀山人大田南畝が本郷村の世話人惣四郎に頼まれて「葛羅之井」を揮毫し、銘文を撰したものです。文化10(1813)年に刊行された鈴木金堤の『勝鹿図志手繰舟』に、早くもこの石碑が紹介されました。また天保7(1836)年刊行の『江戸名所図会』では「葛飾明神社」の中で、挿絵と共に「葛の井」として紹介されています。
その後人々が記憶から遠ざかっていましたが、戦後永井荷風が随筆『葛飾土産』でこの石碑を紹介したことから、再び世に知られる存在となりました。
葛羅の井石碑の碑文と読み下し文
碑文 |
読み下し文 |
下総勝鹿 郷隷栗原 |
下総の勝鹿(葛飾) 郷は栗原に隷す |
神祀瓊杵 地出禮泉 |
神は瓊杵(瓊瓊杵)を祀る 地は禮泉を出す |
豊姫所聲 神龍之淵 |
豊姫の聲する所 神龍の淵 |
大旱不凋 湛乎維圓 |
大旱にも涸れず 湛乎としてこれ円なり |
名曰葛羅 不絶綿々 |
名つけて葛羅 絶えざること綿綿たり |
南畝太田覃撰
文化九年壬申春三月建之
本郷村中世話人惣四郎
船橋市教育委員会
葛羅の井前案内板より
出典・抜粋・引用および参考
葛羅の井前案内板
船橋市ホームページ
二子浦の池前案内板
二子藤の池前案内板
新版 断腸亭日乗 第六巻 岩波書店
新訂 江戸名所図会6 ちくま学芸文庫
房総叢書 : 紀元二千六百年記念. 第6卷葛飾誌略
葛羅の井の最寄り駅と住所
- JR総武線「西船橋駅」より徒歩13分。
- 京成線「京成西船駅」より徒歩5分・「東中山駅」より徒歩8分
- 所在地:千葉県船橋市西船6−4−5
葛羅の井近くの観光名所 ご案内
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法宣院は、中山四院家と呼ばれる古刹の一つ。秋は紅葉の名所。参道の紅葉は圧巻です。また、室町時代に活躍したなべかぶり日親として知られる日親上人が得度した霊跡寺院でもあります。
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戦国里見氏の少年武将広次にまつわる言伝えのある神社。
戦国里見氏に仕えた武将正木時総にまつわる言伝えのある古社。
保存木に囲まれた歴史ある神明社と小栗判官ゆかりの銀杏とお不動様で知られる鬼越山神明寺。
日蓮宗開祖日蓮聖人と中山法華経寺初代管主日常聖人ゆかりの小さな八幡宮。
日蓮聖人ゆかりの寺院と地域の自然を保存した藤棚のある小さな池。
葛飾の小さな丘の上に建つ、永井荷風も訪れた桜の花咲く鎮守様。
葛羅の井
永井荷風に紹介された、葛飾湧水群を偲ばせる住宅街に残る井戸。
満開の桜と国指定重要文化財の共演が美しい、鎌倉時代から続く古刹。
市川を縦横に流れる真間川は、桜の名所としても有名です。お花見の時期にはたくさんの人で賑わいます。
JR本八幡駅からシャトルバスも出ている商業施設。博物館や図書館あり、一日中楽しめます。
桜のお花見の名所として知られる中山法華経寺。国指定の重要文化財が複数ある博物館のような古刹。