寺内妙見神社は見晴らしの好い丘の上に立つ小さな桜の名所
寺内妙見神社は船橋市西部の以前葛飾と呼ばれていた地域の低い丘と谷の入り組んだ地に広がる住宅街の小さな丘の上に立つ小さな古社。葛飾誌略によると、寺内地域の鎮守で、千葉妙見神社を勧請した神社だそうです。昭和61年に記された神社の案内の中に、「近年枯死した境内老松の年輪が五百年余」と記されていますが、
永井荷風が昭和21年2月9日に訪れ、「妙見神社境内に三抱ほどなる老松あるを見る」と彼の日記「断腸亭日常」に記されてます。おそらくこの妙見神社の神木(シンボル)だったと想像されます。今は松の木はありませんが、石段の上に大きなこんもりとした緑色の榎が「妙見神社はここだよ」と目印のように聳え、春には小さな境内に植えられた桜の木がひっそりと花をつけ、ちょっとしたご褒美のように、訪れる人を迎えます。
寺内妙見神社沿革
寺内 妙見神社
御祭神 天之御中主神
神社の全面を北から南へ帯状に伸びる地域は、最近までは水田地帯、往古には海からの入江で白砂青松、景勝の処で台地の上では、古代から人々が生活していたと推察される。
この地は昔から「寺内」と称し、西に「本郷」、東に「印内」と間近に各々独立した村落が形成されたのは、すでに鎌倉時代に遡ると思われる。印内は「院内」で寺院内の意であり、それぞれに別の寺領域の中心であった。
御祭神は古事記神代巻の初めに載る。天地創造、萬物造化の祖神である。
また北辰星宿を司る御神威により、妙見大神と奉称し、安産子育て、方除け、学業増進、生業繁栄の御神徳を有せられる。
古来、下総国の豪族「千葉氏」の尊崇した神で、その勢力が台頭した中世期に、此の里の鎮守として篤信の士により奉斉されたと考えられる。
近年枯死した境内老松の年輪が五百年余を示し、その経緯を裏付けている。
この付近、二子、本郷、西海神等にも元から妙見社の小祠はあったが、(船橋市史・前篇)特に「妙見」を神社名として奉祀するのは当社のみであり、そこに深い由緒の係わりが偲ばれるのである。
御本殿一間社流れ作り、江戸時代末期の造営
昭和四十七年、奉賛会の総意により拝殿の再建をはじめ、社務所の新築、手水舎、狛犬、灯篭、鳥居、石段、参道等を竣工し旧状を一新した。
例祭十月九日、新嘗祭十一月下旬に執り行われる。
今上陛下御在位六十年の佳年を期して茲に当神社の御由緒の一端を記す。
昭和六十一年十一月吉日
宮司 千葉 博
妙見神社奉賛会
寺内妙見神社前案内板より
妙見神社造営記念碑
当社は古来千葉妙見社の分祀と伝えられ開村以来此の里の鎮守として尊崇されてきた社殿の再建が議せられること既に久しけれど機熟せず過般神社総代奉賛会協議し社殿修復建設委員会を設立し之が実現推進を図る。此の度崇敬者の総意を挙げて造営に着手す。昭和四十七年五月八日地鎮祭並に假遷座祭、同七月三十一日上棟祭執行、工事は速かに進捗し社殿玉垣の造営、社務所新築、鳥居、石灯篭、狛犬の調進、水屋改修、参道石段等境内の整備、全て成り社観を一新す仍て同十二月二十六日佳辰を撰び、正遷座祭を斎行せられる。□に竣工にあたり謹みて神威昂揚と町内繁栄を記念し、経過の一端を誌るす。
昭和四十七年十二月吉日
宮 司 千葉 博
奉賛会長 相川壽雄 識
妙見神社造営記念碑銘文より
出典・抜粋・引用および参考
寺内妙見神社前案内板
妙見神社造営記念碑銘文
新版 断腸亭日乗 第六巻 岩波書店
房総叢書 : 紀元二千六百年記念. 第6卷葛飾誌略
寺内妙見神社の最寄り駅と住所
- JR総武線「西船橋駅」より徒歩15分。
- 京成線「京成西船駅」より徒歩7分・「東中山駅」より徒歩9分
- 所在地:千葉県船橋市西船7−3−30
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寺内妙見神社
葛飾の小さな丘の上に建つ、永井荷風も訪れた桜の花咲く鎮守様。
永井荷風に紹介された、葛飾湧水群を偲ばせる住宅街に残る井戸。
満開の桜と国指定重要文化財の共演が美しい、鎌倉時代から続く古刹。
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