江戸川|葛飾を貫く江戸の大動脈の散歩道
東京・埼玉と千葉の境を流れる
江戸川。昔、下総国葛飾郡と呼ばれていた地域を貫いて流れて います。まだ陸上交通の発達していない時代には、水運が盛んで、この新利根と呼ばれた江戸川は江戸に多くの物資を運ぶ経済の大動脈として大いに栄えていました。現在でも豊かな自然の残り、河川敷や土手には季節な花々や木々が植えられ、グランドも整備され、休日はサイクリングやジョギング、つりやウォータースポーツ、野球やサッカーを楽しむ人で賑わいます。夏には花火大会も開かれ、広大な河川敷は人でいっぱいになります。江戸川は流域にすむ多くの人々の最高の散歩道です。
江戸川|江戸時代、徳川家康によってつくられた川
江戸川は東京都と埼玉県の東部を流れ、両県と千葉県との境をなし、東京湾に注ぐ長さ60キロメートルの利根川の分流。埼玉県の北葛飾郡、千葉県の東葛、東京都の葛西など葛飾と呼ばれる地域を貫く大河です。
昔、江戸川は太日川又は太井川と呼ばれる渡良瀬川の下流を流れる川でした。そして現在千葉県銚子市から太平洋に流れ込む利根川も、元々は東京湾に流れ込んでいました。この二つの大河川が運ぶ水量は膨大で、頻繁に氾濫を起こしていました。利根川が坂東太郎と呼ばれる所以です。
戦国時代末期の文禄3年(1594年)、小田原征伐後に関東に入封した徳川家康は江戸の町を水害から守り、田畑を広げるために利根川の流路を東に変える、利根川東遷事業を命じました。この事業には60年の歳月が費やされました。渡良瀬川は東に向きを変えた利根川に合流し、利根川の流れの一部が太日川または太井川と呼ばれていた現在の江戸川に流れ込み、東京湾へと流れ込みました。江戸時代には東北や北関東から多くの物資が江戸に運ばれ、流域の町は大いに栄えました。江戸名所図会、広重の名所江戸百景や玉蘭斎貞秀の利根川東岸一覧などには新利根川や利根川として紹介され、多くの船が行きかう風景が描かれています。葛飾誌には数百の高瀬舟が行き交う様子が記され、葛飾誌略には「大小の船、日夜間断なく、上り下りの舟唄の声もし」と当時の江戸川の様子を紹介しています。また、「清冷にしてよく茶に合ひ、味甚だよし」ともあり、江戸時代には水もきれいで名水の名所だったようです。今井の渡しの少し南の熊野神社の案内板にも「おくまんだし」と呼ばれる名水だったと紹介されています。
江戸川沿岸には国府台城址や古戦場址、矢切の渡し、行徳常夜灯など今も多くの歴史や文化遺産ががあります。また、土手や河川敷には桜並木や菖蒲園などもあり、グランドが整備され、江戸川流域に住む人々がゆったりと季節や自然を感じることのできる場所となっています。夏には花火大会も開かれます。
ところで、いったいいつから江戸川と呼ばれるようになったのでしょうか?明治31年に市川市の中山法華経寺を訪れた高浜虚子は「中山寺」の中で江戸川を利根川と呼んでいます。また、伊藤佐千夫も「野菊の墓」の中で利根川と紹介しています。ただ、昭和7年に江戸川区が生れているので、昭和初期頃から江戸川と呼ばれるようになったのでしょう。
江戸川は流域に住む多くの人々の生活を豊かにし、心も豊かにしてくれた川です。
引用・抜粋および参考
国土交通省ホームページ
市川市ホームページ
江戸川区ホームページ
房総叢書 : 紀元二千六百年記念. 第8卷葛飾紀
房総叢書 : 紀元二千六百年記念. 第6卷 葛飾誌略
新訂 江戸名所図会6 ちくま学芸文庫
熊野神社境内案内板(江戸川5丁目)
定本高浜虚子全集第8巻写生文集1「中山寺」 毎日新聞社
野菊の墓
大辞林
ウィッキペディア
江戸川沿岸の名所 ご案内
江戸川|葛飾を貫く経済の大動脈
葛飾と呼ばれた地区を貫く大河川。江戸の経済の大動脈。歴史と文化、自然豊かな散歩道。
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日本武尊東征伝説ゆかり、市川市国府台に建つ小さな古社
伊藤佐千夫の「野菊の墓」や高浜虚子の「中山寺」に描かれています。
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代々関所役人を務めていた中根氏の館跡に建つと伝えられる寺院。
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