清滝山観音寺宝城院と県指定文化財の庚申塔
清滝山観音寺宝城院の創建は願行上人により鎌倉時代の建久7年(1196)と浦安で一番古い歴史を持つと伝えられる真言宗豊山派の寺院です。江戸川区小岩にある
善養寺の末寺で、本尊は不動明王。境内には千葉県指定有形文化財の
庚申塔と昔から厚く信仰されている
おびんずる様の像が安置されています。山号清滝山があらわすように、江戸時代には隣接する清滝神社の別当寺院でした。清滝山観音寺宝城院は
浦安行徳三十三所観音霊場第32番札所です。
宝城院の庚申塔 千葉県指定有形文化財
この塔は、元文元年(1736)12月、宝城院住職の賢宥法印によって、建立されました。
庚申信仰は、道教(古代中国で成立した不老長生や現世利益を主な目的とした宗教)の三尸説や日待(近隣の仲間が特定の日に集まって、夜明かしする行事)などが習合した信仰です。三尸説とは、干支の庚申にあたる日の夜に、人の体内にいる三尸の虫が抜け出し、天の神にその人がしてきた罪を告げ、これを聞いた天の神がその分だけその人の命を削りとって早死にさせてしまうという信仰です。信者はこれをさけるため、夜を寝ずに会食し、話しながら過ごしました。
塔の表面中央に、邪鬼を踏みつけておさえている青面金剛菩薩、その下に庚申の干支にちなんだ「見ざる、聞かざる、言わざる」の三猿、青面金剛の左右の二人の童子と雌雄の鶏、さらに下段には四体の夜叉が見事に彫刻されています。
これほど破損の少ない庚申塔は珍しく、貴重なものであることから、昭和44年(1969)に千葉県有形文化財に指定されました。
平成21年3月
浦安市教育委員会
清滝山観音寺宝城院庚申塔脇案内板より
おびんずる
宝城院本堂の左側に、「おびんずる様」と呼ばれ、地域の人々に厚く信仰されている仏像が安置されています。
「びんずる」とは、お釈迦さまの弟子である十六羅漢のひとり、賓頭盧尊者のことです。
日本では、本堂の外陣(一般の人が礼拝するところ)にびんずる像が安置され、病人が患部と同じところを撫でて回復を祈願すると、病が治ると信じられており、「撫で仏」ともいわれます。
宝城院のおびんずる様には、手に宝珠の玉がのせられています。この玉が、信者によって持ち帰られ、願いごとが叶うと元に戻されているということがたびたびあったと伝えられています。
台座裏の墨書きの文字から、江戸時代後期の文政7年(1824)、大仏師西山浄慶・西山清八によって、つくられたものであることがわかります。また、像の背面には、明治37年(1904)、岡ア善蔵によって修復されたことが記されています。
平成16年1月
浦安市教育委員会
清滝山観音寺宝城院本堂前案内板より
抜粋・引用および参考
清滝山観音寺宝城院庚申塔脇案内板
清滝山観音寺宝城院本堂前案内板
房総叢書 紀元二千六百年記念 第6卷葛飾誌略
江戸川ライン歴史散歩 崙書房
清滝山観音寺宝城院の最寄り駅と住所
- 東京メトロ東西線「浦安駅」より徒歩5分
- 千葉県浦安市堀江4−14−1
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